ワンダーオタル。

小樽らしさって何だろうと考えることがあります。

以前、高速バスで隣に乗り合わせたご婦人がこんなことを私に語りました。
その方は、本州のどこかの街から小樽に引越してきて間もなかったと記憶しています。
「小樽の人っておっかない」
その方はおっかない理由について切々と語りました。
「私も小樽人なんだけどなぁ……」
などと思いながら話を聞きつづけました。

わからなくもない気がしました。

ぶっきらぼうだったり、他の人のことを気にしてない風だったり。
他のまちから来たばかりだと、心細くなるかもしれません。
でも……小樽ってこんなことも起こるまちなんです。
先日の夕方、都通を歩きながら、さて今日はどの小路から駅に向かおうかな……と
横目で小路を物色しながら、選んだのは極細小路。
雪がなければ普通に細い小路なのですが、
今年の雪の多さで、完全なけもの道となっていました。
小路を歩き出してすぐに、目に入ったものがこちら。

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……鳥居?
いえいえ、電柱と変圧機、その向こうに長崎屋の看板。
いやいや、電柱と変圧機でできた鳥居でしょう!
ちょっと感動してシャッターをパチリ。
けもの道を歩いて長崎屋の裏通りの手前まできたところで
けもの道と広い道路にはかなりの段差があることに気がつきました。
急!
雪の階段が数段つけられていましたが
この日履いていた靴が滑りやすかったので、すてんと転ぶ私の姿が目に浮かびました。
躊躇しているところへ、階段を上って来ようとする女性が現れました。
「どうぞ…」とその方は私に道をゆずってくれました。
「靴がすべりやすいので、走り抜けないと降りられないかなと思って……
車が通り過ぎてるのを待っているんです」と私が言うと、
「私があなたを抱きとめますから、降りてきてください。大丈夫!」とその方は
両手を大きく広げて私ににっこり。
素敵な好意には素直に甘える主義の私。
急な雪の階段をかけ下りると、彼女の腕にしっかりと抱きとめられました。
なんだかおかしくなって二人で笑い
私はお礼をいいながら、お互いに手を振って別れました。
歳は私と同じくらいでしょうか……
これが男女の間で起こったならば、一瞬でフォーリンラブでしょう。
こんなことが長崎屋の裏で密かに起こるのです。
「小樽らしいな……」と、私なんかは思ってしまう。
オープンマインド! オープンセサミ!
いつかまた、私を抱きとめてくれた彼女に会いたいです。
笑顔が素敵な女性でした。

ああ、ワンダーなオタル。